店長のテレビ会議20年 -其の9- IPでのテレビ会議へ(1)
MCUのトラブルが収まってしばらくして大阪のお客様からIPでのテレビ会議
について相談がありました。確か2000年だったと思います。
お客様では当時各通信キャリアがサービス提供を始めていた企業向けの
IP-VPNサービスを導入済みで、せっかくだからここにテレビ会議システム
の通信も乗せてコスト削減をしたいというお話でした。
それまではテレビ会議システムといえばISDN回線を利用するのが一般的
で、IPでテレビ会議をするというのは聞いた事がありませんでした。
「おお!ついにテレビ会議もIPか。」と思った記憶があります。
IPでのテレビ会議システムの国際標準規格としては1996年にH.323という
現在でも主流のものが制定され、Polycom社のViewStationという機器は
既にIPが標準対応になっていました。
しかし、オフィス内のLANでの利用であればともかく、遠隔地の通信で
128kbpsもしくは384kbpsという通信をするには当時の専用線は高額
すぎて、どう考えてもISDNの利用がお得という状況だったので、テレビ
会議をIPでやろうというお客様は皆無でした。NTTがフレッツADSLを
始めたのが2000年12月、Yahoo!BBが始まったのが2001年というこの頃
ブロードバンド回線というものはまだなかったのです。
しかし、このユーザはこれらのブロードバンド回線に先駆けて始まって
いた、企業向けIP-VPNを全社に導入していました。(大企業だったので)
しかし、せっかく高額な回線を使っているのだからテレビ会議でも使わ
ないともったいないと、IPでのテレビ会議の提案を求めてきたという
わけでした。
「もちろん提案させていただきます。」と共同での提案を求めてきた
NTT大阪支店の方には力強く回答しましたが、何の知識も経験もあり
ません。
ただし、テレビ会議サービスのプロである我々がこのチャンスを逃す
わけにはいきません。早速調査を開始しました。