Polycom Group500にゲートキーパーの設定をしたら再起動を繰り返すループに入ってしまいました。。
先日お客様から問い合わせのメールをいただきました。
「先日購入したPolycom Group500にゲートキーパーの設定を入れたら起動したと思ったら自動で再起動をするという現象が発生して、リモートでのコントロールもできないし困っている。バージョンが戻っても困るのでシステムを工場出荷時に戻す操作はしたくない。何かいい方法はないですか。」
とのことです。
原因は全くわかりません。
他のメーカーの機器も含めてそのような現象は見たことも聞いたこともなかったので、原因は全く思い至らず。当然ながらマニュアルにもそんなことは書いてありません。
とりあえず再現試験をしました。
とりあえず、お客様に購入いただいた機器と同じソフトウェアバージョンのPolycom Group500を引っ張り出して、起動したところでゲートキーパーのアドレス指定の項目にダミーのIPアドレスを入れてみます。
すると、アラ不思議、勝手に再起動がかかり(普通はゲートキーパーのアドレスを指定しても再起動はしません)、その後起動したと思いきや、また再起動の無限ループに突入。
「これはさすがにバグでしょう。」と思い、Polycomサイトのドキュメントを探します。
Polycomのサイトで資料を探します。
お客様の利用いただいている機器のソフトウェアバージョンは6.2.2.4で、最新バージョンは6.2.2.7です。
とりあえずソフトウェアバージョン6.2.2.5のリリースノート(バージョンアップによって機能向上したり、バグ修正された内容が等が記載されています)を調べてみると、Resolved Issues(解消された不具合)の項目に
「RealPresence Group Series reboots occasionally when the system loses its H.323 registration.」(H.323の登録がなくなるとGroupは再起動することがある)とあります。
「ああ、これね。」
あっさりと原因はソフトウェアのバグで、バージョンアップすれば解消するとわかりました。
それではバージョンアップしてみましょう。
再起動を繰り返すテスト用のGroup500は初期化用のボタンを押して設定を消して(同時にバージョンダウンもして)、最新の6.2.2.7のソフトウェアにバージョンアップしました。(これが結構時間がかかるんです。)
その後ゲートキーパーのアドレス指定の項目にダミーのIPアドレスを入れてみますが、問題は発生しません。
「やれやれ」
復旧作業の時間はかかりますが、解決方法がわかれば安心です。
お客様にその旨お伝えしたところ、何度か再起動を繰り返しているタイミングでWEBブラウザからのコントロールができるようになったので、ゲートキーパーのアドレス指定を取り消して普通に使えるようになったとのことでした。
もちろんこのままでは本来行いたかったゲートキーパーの指定ができないのでバージョンアップをされるとのことでとりあえず決着となりました。
こういった「ソフトウェアの不具合が原因で、バージョンアップして解決しました。」というケースは実際にはあまりありませんが、
不具合発生 → 再現試験で再発 → メーカーのドキュメントを確認
という形で最短時間で解決でき、なんとかお客様のお役に立てることができました。
最初は「機器の不具合かな?交換機送るかな。」と思ってもいたのですが、ソフトウェアの不具合が原因では機器を交換しても意味がないということでした。
やっぱり最新バージョンがいいですか?
こうやって見ると「ソフトウェアは最新版にアップデートするに限る」と思われる方もいらっしゃると思いますが、必ずしもそうとは言い切れないこともあるので注意が必要です。
最新版のソフトウェアは当然ながらメーカーで十分なテストをした後にリリースされます(と思います)。しかし、ソフトウェアを書き換えているのでバグがないとは言い切れません。テストを行うといってもすべてのお客様と同じ構成で確認するのは当然無理なわけです。ソフトウェア開発者が想定していなかった構成で利用されたときに初めてバグに気がつくということになります。
それではどのバージョンを使うのがいいの?
他のお客様にテストしてもらうのが一番いいということになるわけです。ソフトウェアに不具合が内在していて、メーカー内のテストでは気が付かなくても、多くのお客様が使っていれば見つかる確率は高くなります。
数ヶ月ぐらいいろいろなお客様が使っていれば多くのパターンの不具合が出てくると思います。
ですので、最新のバージョンに飛びつくのは早すぎで、困っていなければ慌てないのがお勧めでしょう。
Polycomは良心的で、これまでの様々なバージョンの情報を公開しています。
リリースされた日付をみていくとリリース間の日付が近いところと間隔があるところがあります。リリースされて日が浅いと、まだ利用したユーザが少ないということもありますし、不具合が発覚してすぐに修正される可能性があるので、あわててバージョンアップしない方がいいかなと思います。
ただし、今回不具合のあった6.2.2.4というバージョンはリリースされて次のバージョンが出るまで4ヶ月ほどあったのでそれほど問題なかったとも言えますが、このバージョンでH.323のゲートキーパーの不具合が発覚したと言えるのでしょう。それ以前から内在していた問題か、6.2.2.4で入り込んだ不具合かはよくわかりませんが。
また、現在不具合が特にないということであれば自社で利用している環境では不具合が発生しないソフトウェアということになりますので、その後に追加された機能等でバージョンアップしたほうが良いということがなければ、多少古いバージョンでもそのまま使い続けるのがリスクが低いとも言えると思います。
PCのようにウィルスに感染する必要があるので、常に最新版が必要というような状況とは少し異なります。(常に全く安心とまでは言い切れません)
参考になれば幸いです。